すぐにメインコンテンツを読むHOME > 東京都地価調査のあらまし サイトマップへ

公益公益社団法人 東京都不動産鑑定士協会/Tokyo Association of Real Estate Appraisers.


1.不動産市場について

我が国の景気動向については、内閣府の7月の月例経済報告に「自律的回復への基盤が整いつつある」との文言が見られるようになった。デフレ脱却には相応の時間を要すると予測され、失業率も高水準にあるなど依然として厳しい状況にあるが、企業の決算も上向きであり、輸出主導ではあるが、景気は緩やかな回復傾向にあるものと思料される。

オフィス、店舗等の賃貸市場は、昨今の景気の低迷により、依然として企業の賃料負担能力が低く、縮小・移転傾向が強い。賃料調整が進んだことで地域によっては空室の改善等の傾向も出てきており、最悪期は脱しつつあるものの、依然として厳しい状況が続いている。住宅については分譲マンションの好調などの明るいニュースもあり、マンション優良地を中心として売買市場に回復の兆しが見受けられる。

2.地価動向について

【総括】

昨年度の地価調査では東京23区全ての地点で下落を示していたのに対し、本年度地価調査では少数ではあるが変動率が横ばいの地点が現われた。大多数の地点は引き続き下落となっているが、その下落幅は縮小している。指定基準地でみると、2010年1月からの半期変動では横ばい、あるいは上昇の地点も見受けられることもあり、今後の地価動向に関しては、緩やかな回復が続くものと予測される。

リーマンショック後の景気悪化から、回復傾向へと移行しつつある経済状況下における各産業の回復過程の爬行性等を反映した結果となっており、その回復の内容を見ると、用途ごと地域ごとに二極化の進行等の特徴が見られる。

【東京23区の地価動向について】
[住宅地]

平成21年の地価公示より下落傾向にあった地価動向は、平成22年地価調査においても引き続き下落傾向にあり、全区部で2年連続の下落となる見込みである。但し、昨今の景気の回復傾向を反映し、区部全体の住宅地平均変動率は、平成21年の▲10.6%から平成22年▲3.1%と下落幅は大幅に縮小する見込みである。

平成21年度地価調査では全23区中15区で▲10.0%を超える下落が見られたのに対し、平成22年度地価調査では全区部で下落幅が縮小しており、千代田区、台東区の2区で▲5.0%を超える下落が見られる程度である。指定基準地でみると下期(平成22年1月1日〜平成22年7月1日)の変動率が横ばいの地点も見受けられ、住宅地については総じて下落傾向に歯止めがかかっている。

背景としては、特にマンション市況の回復が大きく、大手デベロッパーを中心として分譲マンション用地の取得に積極的な動きを見せており、取引市場に活気が戻りつつある。景気の2番底懸念は残るが、好調なマンション需要を背景に地価の上昇傾向への推移が期待される。

[商業地]

地価の下落傾向が続いており、全区部2年連続の下落となる見込みであるが、住宅地同様区部全体の商業地平均変動率は平成21年の▲12.0%から、平成22年の▲5.5%へと下落幅は縮小する見込みである。

▲10.0%を越える下落を示したのは中央区の▲10.8%のみであり、その他の中心5区については千代田区▲8.7%、港区▲7.3%、新宿区▲6.5%、渋谷区▲7.6%の下落となっている。周辺区においては品川・目黒・台東を除き▲5.0%以内の下落に止まっており、ここ数年高い上昇を見せた地域ほど、その反動により地価の回復に遅れが見られる傾向にある。オフィス市場では、企業のコスト削減の徹底により、賃料圧縮を目的とした事務所面積の縮小、移転等の圧力が強く、空室率の上昇、賃料の下落傾向は継続しており、住宅地と異なり、地価の本格的な回復にはなお相応の期間を要するものと思料される。

ここ数年の再開発ラッシュ(2009年4月に日本経済新聞社東京本社ビル、JAビル、経団連会館、同9月に丸の内パークビルディングが竣工)は一巡した感はあるが、今後も中心区を中心として大型の計画が多い。「JPタワー(東京郵便局建替)」、「環状第2号線新橋・虎ノ門地区再開発Ⅲ街区・超高層棟」、「西新宿8丁目成子地区再開発・超高層棟」等。土地の高度利用により収益力を向上させるが、相次ぐ大型供給により需給バランスが崩れ賃料の下落圧力となることも懸念される。また、平成24年春には墨田区で新タワー『東京スカイツリー』の開業が予定され、品川区では北品川五丁目第1地区市街地再開発計画(全体約3.6ha)が平成25年10月に工事完了予定であり、今後の動向が注目される。

(財)日本不動産研究所による「第22回不動産投資家調査」によると、丸の内・大手町地区に所在するAクラスビルの期待利回りは、4.5%(3期連続横ばい)となっている。

公的評価と不動産鑑定士の役割

不動産鑑定士は民有の不動産を評価するだけではなく、公的評価も行っており、いずれも重要な業務である。公的評価とは一般に地価調査・地価公示・相続税路線価・固定資産税の評価等を指す。

土地基本法第16条には「国は、適正な地価の形成及び課税の適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする」とある。不動産鑑定士はこの国の努力目標が達成できるよう、鑑定評価活動を通じて貢献していかなければならない。

また、公的評価は都民の皆様の納税に直接関係してくること、適正な価格指標を提供させていただくことから、専門職業家として皆様の期待に応えられるよう、常に公平妥当な態度をもって職務を遂行せねばならない。

そこで、この職務遂行に不可欠なのは「取引価格情報の収集・提供スキーム」である。このスキームは不動産の取引価格情報を国民に提供することにより、公的評価の精度向上・説明責任を果たすことを目的としている。

具体的には、最初に国土交通省が法務省から土地登記簿の異動情報を受け、不動産の購入者に対して取引価格等に関する調査を行う。この調査結果を受けた不動産鑑定士が取引事例データを整備し、国土交通省へ納品する。最終的に、このデータは各々の物件に関する個人情報が特定できないように加工し、インターネットを通じて国民の皆様に広く、無償で提供している。

なお、これらの具体的な取引情報は公的評価で活用されるものの、税務署等の税務関連機関への提供はなされない。情報提供者の方の善意によって成り立っている制度である以上、情報提供者に不利益が生じないように配慮されている。

我々不動産鑑定士はこの制度が都民の皆様をはじめ、国民の皆様により一層活用していただけるよう、積極的に参加し、公的評価のより一層のご理解・ご協力を得られるよう努めていきたい。

アーカイブ:前年度までの記事